Wonder君は太陽〜ジュリア・ロバーツ

大ヒットしたこの作品はご覧になりましたか?ここでは、主人公の母の中心にレビューしていきたいと思います。
障害を持って生まれた我が子
(ネタバレ)先天性の病気を持って生まれたオギーは、生まれてから手術を繰り返している。
20回以上の整形手術でも、完全な回復には至らず、自宅学習をして過ごしてきた。
ジュリア・ロバーツ演じる母親が、彼の勉強を見てきた。
彼女は、この出産を期にキャリアを諦めて子育てと治療に注力してきた。
息子が10歳になったとき、意を決して学校に行かせることを決意する。
彼女の夫も、長女も反対し、心配する中、彼女の英断により登校することに。
我が子を守る母性の強さと、自分自身も困難に立ち向かう強さを持った素敵な女性だ。
夫はどうか
妻はもともとインテリで、夫も同じく会社経営をしているインテリと思われる。
彼女が大上段に正義を振りかざすのに対して、彼は父親として、息子のオギーにこっそり処世術を耳打ちする。
たいてい父親としての判断は、冷静で正しく、結果に繋がっている。
けれど、それを真っ向から妻にぶつけない。
「ママに言ったら、殺されるから」と茶目っ気たっぷりに小声で、オギーにアドバイスする。
「クラスでの発言は、一講義一回にしろ、理科は無制限で徹底的にいけ」
と学校での攻略法を伝えるのも、彼だ。
女性は、このような戦略は得意ではない。
女性と競う気持ちがあると、男は偉そうに、家族の前で発表し命令するだろう。
「俺が、この家の主人だ。」
のような昭和の臭いが全くしてこないのは、舞台がアメリカだからだろうか。
気の強い奥さんが、気の強いままでいられるように、こっそり裏で手を回す。耳打ちしたり、こっそりヘルメットを隠したり(笑)
とてもお茶目で、素敵な旦那様だ。
人間関係が上手
こういう男性は、恐妻家なのだろうか。
口論するのが面倒くさいというのもあるのかもしれないが、
もしかしたら、そういう一本木で懸命な女性を包み込んでいる、上手な男性なのかもしれない。
女性はどうしても、子供の事になると、近視眼的になりがちだし、限界まで頑張っているのがわかっているから、それ以上は意見をしないのかもしれない。
彼には余裕がある。
そして、その余裕は、彼女が頑張ってくれているから出来ているとわかっているのだはないか。
マインドフルネスの人
他の映画で出てきたキャリア女性の母親は、出産により自分のキャリアが中断したとヒステリーを起こし、子供を虐待した。
だが、この映画に出てくる母親は、論文の提出ができないまま、子育てに追われていることも、その子供が障害を抱えていることからも逃げない。
辛いことがあると、誰かのせいにしたり、恨んだり、過去を後悔して、目の前の人に当たったりしがちだ。
けれど、彼女は勇しく、今自分にできることを懸命にしていくだけだ。
将来を悲観したり、人を恨み羨んで嫉妬していないで、今を生きている。
だから、家族は団結している。冗談を言い合って仲が良い。
お互いを信用して支え合っている。
だから、息子は立派にいじめを乗り越えて、真の友情を獲得し、学校のヒーローとなった。
ヘルメットを外そう
主人公の顔は、手術の傷跡や引きつっていて醜いので、クラスメートからも避けられ、いじめられる。
「なんで、僕はこんなに醜いの?」と彼は登校1日目に泣いて訴える。
誰も自分の苦しみなんてわからない。
子供がそう苦しんでいたら、もう自宅学習していたらいいからと無理しなくていいよ、と言いたくなりそう。
もしくは、普通ではない息子が恥ずかしいと、逆に外に出さなかったりはしないだろうか。
けれどこの両親は、彼の痛みは変わってあげられないし、取り除くことも、できないけれど、そのままの彼を受容し、愛し、励ました。
ヘルメットをずっと着用したまま、自分の醜い部分を隠して、隠れて生きていくこともできただろう。
けれど、そんな可哀想な子供のままにしておくのではなく、ちゃんと人生に立ち向かってほしかったのだろう。
なぜなら、この両親自身がちゃんと自分の人生を生きているから、その大切さや尊さをわかっているのだ。
さらに、何か引目に感じたり、不利だと思っていることこそが、その人生を輝かせる宝物でもあるのだ。
障害は、彼にとっての宝物になったし、彼の存在は家族の宝物だ。
最後に論文を書き終えた
ジュリア・ロバーツは、とうとう論文を書き終えた。
やろうと思えば、いつだって再びやれるのだ。
今、不可能に思えたり道が閉ざされたように見えても、いつか必ずその困難にも終わりがくる。
だから、そんなに焦らないでいいよと世の中のお母さんたちに、優しいメッセージをくれているように感じられた。
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